先に結論から

共働き世帯の資産は、夫婦それぞれの口座・証券・保険・ローンを一枚の世帯バランスシートに合算すると全体が見えます。

これは珍しいことではない。共働きの家庭では、給与口座も、貯めている証券口座も、勤め先の年金も、たいてい夫婦それぞれの名義で別々に育っている。自分の分は分かる。相手の分もだいたい聞いてはいる。けれど二人分を足し合わせて「世帯としていくら持っているか」まで数字にしたことは、実はほとんどない。

当てはまる人

夫婦それぞれの口座・証券・保険はなんとなく把握しているが、世帯合計を出したことがない人

これから住宅ローンや教育費など、世帯単位の意思決定を控えている人

当てはまらない人

すでに夫婦で資産・負債を一枚にまとめ、定期的に更新している人

家計を完全に分離して運営する方針が固まっており、合算の必要がない人

なぜ見えないのか

個人にも会社と同じように、持っているものと借りているものを並べた一枚——バランスシート(B/S)に対応するものがある(この仕組み自体は個人にも、バランスシートがあるで詳しく説明している)。共働き世帯が難しいのは、この一枚が最初から二人分に分かれて存在している点だ。

夫の一枚 給与口座 証券口座 企業年金・確定拠出 自分の分は把握している 妻の一枚 給与口座 証券口座 企業年金・確定拠出 相手の内訳は、だいたい聞いた程度 合算して 初めて出る 世帯の輪郭
夫の一枚、妻の一枚。どちらも「自分の分」は見えているのに、二人分を突き合わせる機会がないだけで、世帯としての姿は出てこない。

夫の口座、妻の口座。夫の企業年金、妻の企業年金。どちらも「自分の分」は管理できていても、相手の内訳まで細かく把握している人は少ない。悪気があるわけではない。それぞれが自分の担当を守っているだけで、二人分を突き合わせる機会が単純に無いのだ。住宅ローンのように名義が一本化されているものはまだいいが、金融資産は夫婦で分散しているぶん、合算しない限り世帯の輪郭は出てこない。

世帯合算バランスシートの判断式

別々の口座のままでは、世帯の純資産は見えない。夫婦それぞれの資産・負債を一枚に足し合わせて初めて、世帯としての輪郭が出る。

世帯合算B/S = 夫婦両方の資産合計 − 夫婦両方の負債合計

田中家サンプルで見る

45歳・共働き・子ども2人の田中家を例にすると、自宅と投資用不動産、保険・年金、株式・投信・預金などを合わせた資産は9,760万円。ここから自宅の住宅ローンや投資用ローンなどの負債5,980万円を引くと、世帯の純資産は約3,800万円になる。

田中家サンプル(世帯で合算) (45歳・共働き・子ども2人/数値は正典どおり) 世帯の資産 合計 9,760万 自宅(時価) 6,500万 投資用不動産 2,300万 保険・年金 600万 株式・投信・預金 360万 世帯の負債 合計 5,980万 自宅の住宅ローン 3,800万 投資用ローン 2,000万 その他ローン 180万 世帯の純資産(資産 − 負債) 約3,800万 二人分を一枚に重ねて初めて、この約3,800万円が見える
片方だけが数字を握っている状態では、世帯の姿は半分しか見えない。二人分を一枚に重ねて、初めて純資産約3,800万円という輪郭が出る。

もし夫婦がそれぞれ「自分の口座はこれくらい」としか捉えていなければ、この約3,800万円という数字には決してたどり着かない。二人分を一枚に重ねて初めて、世帯としてどれだけの資産を持ち、負債にどれだけ支えられているか(この世帯では資産の約61%を借入が占める)が見えてくる。片方だけが数字を握っている状態では、家族の意思決定はいつも半分の情報で行われていることになる。

まず、世帯で一枚にしてみる

このバランスシートは、どちらがどれだけ稼いだかを比べるものでも、資産の増やし方を教えるものでもない。ただ、夫婦それぞれに散らばっている数字を一枚に合わせるだけだ。それだけで、これまで感覚でしか話せなかった世帯の状態が、具体的な数字として夫婦の会話に上るようになる。

田中家のサンプルを先に覗いてみたい人は「田中家サンプルで見る」から。自分たちの世帯で試したい人は、5分で個人BS診断から始められる。

注意点

世帯ごとに資産の管理方針は異なり、合算が唯一の正解というわけではない。家計を分離したまま運営する世帯もある。

この合算は概算把握のための一枚であり、投資助言や家計指導ではない。

世帯の輪郭は、二人分を一枚にするだけで見えてきます。