先に結論から

保険は種類によって家計上の扱いが変わります。解約返戻金のある保険は資産側に計上でき、掛け捨て型は費用として扱います。

資産の欄に入れるべきか、負債の欄に入れるべきか、あるいはどちらでもないのか。生命保険や医療保険は、家計の中でも特に見えにくい項目の一つだ。毎月の保険料という支出は家計簿に残るのに、それが積み上がって今いくらの価値になっているかは、証券口座や預金のようにアプリの残高に出てくるわけではない。

当てはまる人

掛け捨て型・貯蓄型どちらの保険にも入っているが、家計の一枚のどこに乗るか整理したことがない人

自分の資産・負債の全体像に、保険をどう位置づければよいか知りたい人

当てはまらない人

保険証券の解約返戻金額をすでに把握し、自分の資産一覧に反映済みの人

保険の見直しや加入の是非についてアドバイスを求めている人(この記事はB/S上の整理のみを扱う)

これは、保険が「もしもの時にお金が出る」という保障そのものを買っているからだ。保障は、使うかどうか分からない権利であって、今この瞬間にいくらの価値があるかを一言では言えない。だから多くの人は、保険を資産でも負債でもない「よくわからない箱」に入れたまま、家計の全体像から外してしまう。

なぜ位置づけが分かれるのか

個人のバランスシート(B/S)は、今持っているものを左に、今借りているものを右に並べ、左から右を引いて純資産を出す一枚の表だ(詳しくは個人にも、バランスシートがある)。この一枚に保険をどう乗せるかは、実は保険の種類によって答えが変わる。

掛け捨て型と呼ばれる保険——一定期間、保障だけを買うタイプ——は、解約しても戻ってくるお金がほとんどない。毎月の保険料は、その期間の保障というサービスへの対価として消えていく。だから、左側の「資産」の欄には載らない。かといって借金でもないので、右側の「負債」にも載らない。B/Sの外にある支出、という位置づけになる。

一方、貯蓄型と呼ばれる保険——保障に積立の要素が組み合わさったタイプ——は事情が違う。途中で解約したときに戻ってくるお金があり、これを解約返戻金と呼ぶ。この解約返戻金は、今この瞬間に現金化できる価値として、資産の欄に載る。保険という名前がついていても、B/Sの上では預金や証券と同じ「今持っているもの」の仲間になる。

保険をB/Sに乗せる目安

資産計上の目安は、解約返戻金相当額。掛け捨て型は資産計上しないが、保障という機能そのものは残る。あくまでバランスシート上の整理であり、どちらが得かという話ではない。

資産計上額 = 解約返戻金相当額(貯蓄型)/ 掛け捨て型は資産計上しない

保険は、B/Sのどちら側か 貯蓄型保険 解約すれば戻ってくる お金=解約返戻金がある 資産の欄に計上 田中家サンプルでは 320万円 掛け捨て型保険 保険料は、その期間の 保障というサービスの対価 B/Sの外(支出として消える) 資産にも負債にも載らない 同じ「保険」という言葉でも、種類によってB/Sへの乗り方は変わる。 乗るか乗らないかで、純資産の数字の中身が変わる。
貯蓄型保険の解約返戻金は資産の欄に、掛け捨て型保険の保険料はB/Sの外にある支出として扱われる。

田中家サンプルで見ると

田中家(45歳・共働き・子ども2人)の総資産9,760万円の内訳を見ると、保険の解約返戻金は320万円として資産の欄に並んでいる。自宅の時価6,500万、投資用不動産2,300万、確定拠出年金280万、株式・投信・預金360万と並べたとき、320万という金額そのものは大きくない。けれど、これが乗っているかどうかで、純資産約3,800万円という数字の中身は変わる。

もし田中家の保険がすべて掛け捨て型だったなら、この320万円はそもそもB/S上に存在しない。毎月の保険料は家計の収支には残るが、資産としては積み上がらない。逆に貯蓄型の比重が大きければ、解約返戻金はもっと大きな金額として資産側に乗ってくる。同じ「保険」という言葉でも、家計の一枚に与える影響はまったく違う。

自分の保険がどちらか、確かめてみる

どの保険が良いか、掛け捨てと貯蓄型のどちらを選ぶべきかは、この記事が答える話ではない。ここで伝えたいのはもっと手前のことだ——自分が今入っている保険が、家計の一枚のどこに位置しているかを知っておく、ということ。証券口座の残高のように毎月表示されないだけで、貯蓄型の保険には、契約時に渡された書類のどこかに解約返戻金額の見込みを示す表がある。それを一度確認するだけで、自分の家計の資産の欄に何が乗っているかが見えてくる。

田中家サンプルで、保険がB/Sのどこに乗っているかを先に覗いてみたい人は「田中家サンプルで見る」から。自分の家の一枚を確かめたい人は、5分で個人BS診断から始められる。

注意点

この記事は、保険の要否や見直しを推奨するものではない。資産計上できるかどうかは個々の契約条件(商品性・経過年数・特約の有無など)により異なる。

税務上の取り扱いや保険募集に関する助言ではない。実際の解約返戻金額は契約時に交付された書類または保険会社への照会で確認してほしい。

自分の保険が資産に乗るかどうかも、5分の診断で一緒に見えてきます。