なぜ表面利回りだけでは判断できないか

「表面利回り8%」の物件があります。これは良い物件でしょうか。答えは「情報が足りないので判断できない」です。

表面利回りは年間賃料 ÷ 物件価格の計算式で求められます。管理費・修繕費・ローン返済・固定資産税・空室リスクを一切考慮していない数字です。

原則

投資用不動産の判断に必要なのは「買えるか」ではなく「持ち切れるか」「増やせるか」「家族全体で耐えられるか」の3問です。

3つの核心指標

WAM Proが物件評価に使う核心指標は3つです。これを理解すれば、不動産業者の説明に惑わされなくなります。

① LTV(Loan To Value)— 借入比率

計算式
LTV = ローン残高 ÷ 不動産時価 × 100
例:不動産時価 ¥100M・ローン残高 ¥70M → LTV = 70%

LTVは「不動産の現在価値に対して、どれだけ借入しているか」を示す指標です。銀行が最も重視する指標の一つでもあります。

安全圏
〜60%
借換え・追加融資ともに対応しやすい。物件価格が下落しても余裕がある。
要注意
60〜75%
一般的な水準。ただし金利上昇・価格下落で一気に圧迫される可能性がある。
高リスク
75%〜
借換えが困難になるリスク。新規融資を断られる可能性が高くなる。

② DSCR(Debt Service Coverage Ratio)— 返済余力

計算式
DSCR = 月額賃料 ÷(月次返済額 + 固定資産税月額)
例:月次賃料 ¥500K・月次返済 ¥350K・固定資産税月額 ¥20K → DSCR = 1.35

DSCRは「賃料収入が、ローン返済をどれだけ上回っているか」を示す指標です。1.0を下回ると、賃料だけでは返済できない状態です。

健全
1.25以上
WAM Proの目標水準。空室や修繕が発生しても返済に余裕がある。
注意
1.10〜1.25
空室が続くと厳しくなる。管理体制の強化が必要。
危険
1.10未満
少しの変化で赤字に転落。出口戦略の検討が必要。

③ FCF(Free Cash Flow)— 手残りキャッシュフロー

計算式
FCF = 月次賃料 − ローン返済 − 管理費 − 固定資産税月額 − 修繕積立
FCFがプラスであれば「持ち出しなし」。マイナスなら毎月補填が必要。

最終的に手元に残るお金がFCFです。表面利回りでは見えないこの数字こそが、物件の実力を表しています。

バランスシートで不動産を見る

個別物件の指標だけでなく、自分のバランスシート全体でどう変わるかを見ることが重要です。

指標物件追加前物件追加後変化
総資産¥878M¥956M+¥78M
ローン残高¥423M¥484M+¥61M
純資産¥532M¥549M+¥17M
月次CF¥1.42M¥1.56M+¥0.14M
加重DSCR1.431.37−0.06
平均LTV62.2%65.8%+3.6pt

この例では、物件を追加することで月次CFは改善しますが、DSCRが低下し、LTVが上昇します。「月次CFが増えるから良い物件」だけでは判断できない理由がここにあります。

銀行目線で自分を評価する

融資審査では、銀行は以下を見ています。自分の状況を銀行目線で把握することが、借入余力の正確な把握につながります。

WAM Proの実績値(2026年4月時点)

不動産10物件・LTV 62.2%・加重DSCR 1.43・稼働率96.8%・月次CF ¥1.42M。この状態を維持しながら、次の物件余力を継続的に試算しています。

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